閉じた写真と、広がりを感じる写真
境界は実に簡単。
被写体だけ見てると画面に背景ができるでしょう?
関与してない部分があると、画面構成が必要になる。
一枚の写真の中に
「興味ある部分」と「それほどでもない部分」
両方あると「絵」が完成して閉じてしまうの。
ところで。
ふだん背景って気にしてる?
目が行くすべてのものが被写体になってない?
「あれ?」とか「ハッ!」みたいな感じを
「イイカンジ」って呼ぶんだけど
そのとき人は
「相手」と「相手がそこにいる空間」を同時に見てる。
あなたが見て「イイカンジ」と感じた範囲は
あなたが被写体と思ってるより、もう少し広いのよ。
画面いっぺんにバシッ!と目に飛び込んでくる写真。
ムダや比較や引き立て役が画面のどこにもない写真。
良い写真は主題と背景って切り離せない。
見た感じのまま切り取るとそうなる。
「右を向いてるから、向いた側を空けよう」とか
そんな「被写体+背景」みたいな考え方じゃないの。
「その空間にいる相手」や「その空間にあるもの」に反応してるの。見た感じのまま撮るって、そういうことなの。
いきなり難しければ、撮る前に「もっと背景も見なきゃ」くらいから始めてみてね。
支配空間含む相手まるごと切り取れるようになると
撮影者の視覚体験を鑑賞者が追体験しやすくなる。
鑑賞者は、画面に写る撮影者の気分に共感してるのよ。